humunusラボ企画「HUM&HAW」(ハム&ホー)を9月から10月までのY-base滞在期間中にYAU STUDIO Y-baseにて実施します。ラボ企画は、humunusが探求している音声表現についての実験とその過程を様々な形で観客や参加者に開きながら実践していくプログラムです。
今回、9月のプログラムでは、Y-baseと取り巻く環境の音響的性質を利用して、音声-身体-環境にまつわる観察法を参加者の方々と共に行うワークショップを開催し、それぞれの身体や空間認識に対してどのような変化が訪れるのか考察します。数日後、こうした方法を使った『Practices 3つの景色から』(仮)として試演会の形で発表します。
10月は、9月のプログラムでの経験を引き継ぎつつ、より身体内部への観察へと入っていき、発話へのプロセスを探求する予定です。humunusが実践を続けている呼吸と身体の関係からアプローチをしていきます。呼吸の運動から身体を分解的に観察する事で、体内の様々な空間や動きの変化を再発見し、認識し直された身体のあらゆる部位と、口-耳をイメージで紐づけながら発話を試みるなど、音声-身体-言語の関係性を探っていくようなワークショップと試演会を行う予定です。試演会『崖に向かう態勢』(仮)ではテキストを扱い、言葉の意味から溢れてしまう身体の物質性と、言葉との摩擦がどのような音声やイメージを引き出すのかを実験する予定です。
《HUM & HAW》は、「口籠る」ことを意味する英語の言葉です。hum(ハム)は虫の羽音や機械の出すノイズを意味する擬声語由来の言葉です。一方のhaw(ホー)は言い淀み、「えー、あー」などの間投・感嘆詞です。発音は異なりますが、アイヌ語ではフㇺ=humは「音」をはじめとした聴覚的、触覚的認識において使用される言葉で、ハウ=hawは「声」を意味し、言語的な認識において使用されるといいます。もちろん音表記上の一致ではありますが、異なる言語において、これらの音の組み合わせにどこか同様の類型を感じます。
「意図や意味が伝わる正しい発話」には社会的、歴史的、政治的にも様々な含みの文脈があります。私たちはむしろ「口籠る」「言い淀む」「どもる」ことの中に、言葉になれず、あるいは言葉が崩れていった異質な音の数々、その言語のシステムから排除されてしまうような音の残響を通して、非人間的なるものとの境界に揺らめきながら、改めて言語と出会い直す実践ができればと考えています。
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ワークショップ#2
『〈態勢を変える〉呼吸-部位-イメージ---耳と口を移す』